
太刀拵 金梨子地葵紋散金貝蒔絵鞘糸巻太刀拵 鐔銘 ー 後藤悦乗(花押)
● 総長ー98.0cm ● 総反りー5.3cm ● 柄長さー23.2cm ● 鞘長さー74.5cm
軍事的な目的のために用いられる武器・武具を兵仗と呼ぶのに対して、儀礼用のものを儀仗と称します。 武家の用いる太刀拵えは実用のためであるが、凡そ室町時代よりは装飾が施され、江戸時代には儀仗としての役目が多くなりました。
本作は総金具を、赤銅魚子地に葵紋を鋤出高彫金色絵で散し、目貫は同紋三双図、鐔は刳込葵木瓜形、伝統と格式を誇る名門・後藤家の制作する在銘、確かな糸巻太刀拵です。
鐔(銘) 後藤悦乗(花押)
鞘は、地に金粉を巻き、漆を塗って研ぎ出した金梨子地に、表に十一個の葵紋、裏に同じく十一個の同紋を金貝(金の薄片を漆で貼ったもの)と蒔絵にて格調高く表し、黄金色の葵紋は、時代を経て光りの角度により青または紫色へと窯変に輝きます。
糸巻太刀拵の在銘品は、頗る少ないばかりか、足利将軍家に仕え、織田・豊臣・徳川の装剣金工の雄である、古い後藤家の在銘太刀拵えの伝世品は皆無に等しいものです。
葵紋を象る赤銅魚子地は、全て保存状態が良く健全であり、且つ古い葵紋の形式であることから、江戸前期の確かな資料としても貴重なものです。格式を誇るその重厚さは、三百数余年の時を越えても失われること無く、今日まで伝わったことは、喜ばしい限りです。 徳川将軍家に相応しい優雅で格調高い名品です。